コラボレーション:Pollo.ai
最近色んな生成AIがここ2年程で沢山出ていますが、どれも質が非常に高く一概にこれが良い!と言えない群雄割拠の状態です。
私も着いていくので精一杯で全てを網羅しようと思っても中々難しいのですね。
そんな中、Pollo AIというちょっと変わった動画生成AIを手に入れたので、試してみたいと思います。結構初体験な機能もありますが、楽しいですよこれ。でも気を引き締めて、忌憚のないレビューをしたいと思います。
- 生成動画が初めてな人
- シンプルなインターフェースを求める人
- これ一つで全ての動画生成AI機能を完結させたい人
- 専門スキル不要で簡単に作りたい人
- 動画生成に4〜5分掛かっても待てる人
Pollo AIの概要
Pollo AIは、AI技術を活用して高品質なHDビデオを生成できる次世代のビデオ生成ツールです。その最大の特徴は、テキストプロンプトや画像、動画を入力するだけで多種多様なスタイルのビデオを自動生成できる点です。特に、プロ仕様の映像や広告ビデオの制作に適しています。
Pollo AIは、複数のAIモデルを搭載しており、Klingなどのモデルは日本人を含むリアルな映像表現に特化しています。また、低品質のビデオを高解像度かつ詳細な映像に変換する「アップスケーリング機能」を備え、既存の素材をさらに魅力的なものにします。直感的なインターフェースで、専門知識がなくても短時間でプロレベルの映像制作が可能です。
また、プロンプトテキストによる動画生成、静止画による動画生成、動画から動画への変換が出来る機能を一つのアプリに内包しており、分かりやすいインターフェースと相まって初心者からプロまで使える動画生成アプリです。
さらに、Pollo AIはコスト削減や制作時間短縮を実現する効率的なソリューションとして、映像制作の新たな可能性を広げています。
上にも述べた通り、動画生成に複数の著名なAIモデルを選択することが出来るのがこのアプリの最大の特徴です。それぞれ得意する表現があり、例えば以下のAIモデルが選択可能です。
- Pollo1.5
Pollo 1.5は、テキストや画像から高品質なHD動画を生成できる先進的なAIツールです。最大解像度4Kまで対応しており、リアルで一貫性のある映像表現が特徴です。動画の長さは5秒または10秒を基本としており、初心者でも簡単に操作可能な直感的なインターフェースを備えています。
- Kling1.6
Pollo AIに搭載されたKling 1.6は、前バージョンと比較して画像から動画への生成能力が195%向上し、プロンプトの理解度、モーションダイナミクス、視覚品質が強化されています。これにより、より高品質で一貫性のある動画生成が可能となり、AI動画制作の新たな基準を確立しています。5〜10秒の動画生成が可能です。
- Kling1.0
Kling1.0はKling1.6に比べ、低コストで動画生成できるモデルです。クレジットをあまり消費したくない時はこちらを使うと良いでしょう。
- Vidu1.5
Vidu 1.5は、複数のキャラクターやオブジェクトを一貫性を持って表現する「Multiple-Entity Consistency(多主体一貫性)」機能が追加され、少ない参照画像からでも高品質な動画生成が可能となりました。また、生成速度が向上し、4秒の動画を約1分で生成できます。さらに、アニメ風やリアル風など多様なスタイルにも対応しています。
- Hailuo AI
Hailuo AIは、テキストや画像から高品質な動画を自動生成するAIツールです。特に、人物の表情や口の動きなど、細かな感情表現や動作の再現に優れています。初心者でも簡単に操作でき、SNS向けの短編動画やビジネスプレゼンテーションなど、多様な用途に対応しています。
- Luma AI
Luma AIは、テキストや画像から高品質な3Dモデルや動画を自動生成するAIツールです。特に、物理法則を理解した自然で滑らかな動きを実現する最新モデル「Ray2」を搭載し、複雑なシーンやキャラクターの表現が可能です。直感的な操作性で、初心者からプロフェッショナルまで幅広く利用できます。
- PixVerse V2
2024年7月24日にリリースされた高度なAI動画生成プラットフォームで、テキストや画像から最大8秒の高品質な動画を作成できます。V1と比較して品質が向上し、複数のクリップにわたって一貫性のある動画生成が可能になりました。また、リアル、3Dアニメーション、アニメスタイルなど多様なスタイルに対応しています。
- PixVerse V3
Pollo.AIに搭載された高度なAI動画生成モデルです。複雑なユーザー入力の理解力が向上し、音声と唇の動きを同期させるリップシンク機能を新たに備えています。ユーザーは、アニメ、リアリスティック、クレイ、3Dなど多様なスタイルの動画を生成でき、ゾンビモードやモンスターインベイジョンなどの特殊効果も活用可能です。また、複数のアスペクト比をサポートし、さまざまなプラットフォームでの利用に適しています。
こうして見ると錚々たる有名なAIモデルが搭載されていますね。
Pollo AI上では、AIモデルによってインターフェース、生成の出来上がり品質、レンダリング時間、消費クレジットが違います。
色々なAIモデルを試し、自分だけの動画生成AIを見つけましょう。
Pollo AIのユーザーインターフェース
デフォルトのPollo1.5の画面です。これが他のAIモデルですと、少しレイアウトが変わります。上からプロンプト欄、アスペクト比、公開可視性、コピー防止といった項目が操作できます。プロンプト欄で実際の命令文を記述します。尚、後述しますがプロンプト欄には「AIで作成」という項目があり、これを使用すると生成AIでプロンプトを強化してくれます。
そして「公開可視性」ですが、これは生成した動画の公開範囲を設定するオプションです。この設定により、動画を一般公開するか、限定的に共有するかを選択できます。具体的な設定方法やオプションの詳細については、公式サイトの各ツールの設定画面で確認できます。
そして「コピー防止」ですが生成した動画が他のユーザーにコピーされないよう設定できます。
とてもジンプルなインターフェースで好感が持てます。
右側の欄には今まで生成した動画が表示されます。
Pollo AIを実際に使ってみた
基本的にデフォルトの「Pollo1.5」、人物などのハイクオリティな描写を得意とする「Kling1.6」、そして比較対象にOpenAIの「Sora」の三つ巴で比較してみました。
まずはPollo1.5に以下の様なプロンプトを与えてみます。
しんしんと雪の降街中、たくさんのイルミンーションに包まれ、夜空を見上げる少女。カメラワークはローアングルで少女の周りをゆっくりと旋回する。
それで出来上がったのが以下の動画です。
中々良い雰囲気ですが、雪が降ってないですね。(微妙に降ってる?)それにカメラワークが旋回していません。画が良いだけにプロンプトの対応が追いついてないのは惜しい。
そして細かく見ますと、ビルなどの建物に歪みが見られます。これを仕事で使うのはちょっと難しいですね。
試しに「AIで生成」でプロンプトを強化して試してみます。
プロンプト欄の左下にある「AIで生成」をクリックします。
プロンプトは英語で強化されます。
これ系の生成AIのプロンプトは、日本語より英語の方が結果が好ましい場合があります。
生成された動画が上記のものです。
あまり代わり映えしないですね。やっぱり雪は降らないし、カメラワークもエレベーションして意図とは反しています。Pollo.AIの問題か、それともプロンプトが悪いのか、、。
KlingのAIモデルを使って試してみたいと思います。
Kling1.6にしたらインターフェースで設定できる項目が増えました。
即効性
おそらく私のプロンプトに忠実に従うか、それともAIの創造性に任せるかの設定ですね。ここはデフォルトの中間にしてみます。
動画の長さ
Pollo1.5は5秒の動画しか作れませんが、Kling1.5だと10秒の動画が作れます。
このアドバンテージは大きいですね。※消費クレジットも10→20になりますが…
ネガティブプロンプト
これはどういうものかと言うと、その名の通り生成に加えてほしくない要素を指定することが出来ます。必ず反映される訳ではないのですが、ある程度の効果は見込めます。
そして同じプロンプトで創った動画が以下。
一見して「これこれ!」というオーダーに沿った動画が出来ました。ただ、雪がちょっと怪しいですね。降っている所と降ってない箇所があります。そこだけが惜しい。カメラワークはバッチリです。滑らかに少女の周囲を旋回しています。遠景の建物も破綻していません。
いい感じです。
次は同じプロンプトでOpenAIのSoraの動画を生成してみます。
Soraはなんというか、不自然さがないです。
ちゃんとプロンプトに従い、高度なレベルで期待に応えてくれます。
他のモデルでは欠けていた「沢山のイルミネーションに包まれて」の部分まで自然に実現しています。前よりもレベルアップしているような…OpenAIはサイレントアップデートを良くするのでモデルがバージョンアップしたのかもと思わせるクオリティです。
各モデルでのレンダリング速度を測ってみました。
- Pollo1.5…6分8秒
- Kling1.6…3分33秒
- Sora…1分56秒
以上の結果になりました。
Soraは尺を10秒でレンダリングしてこの速度ですから、驚異的な速度ですね。
Pollo.AIでクリエイティブな作業を行おうと思うと、Kling1.6が着地点でしょうか。
Pollo1.5はちょっと待ち時間が長いなぁというのが正直な印象です。
その他の機能
その他の機能としては左のサイドバーに纏められています。
このアプリの凄いところは、ジェネレーターとしてのマルチモーダル機能を一通り揃えている所です。
どれも食指をそそる機能ですね。上から順に評価してみたいと思います。
画像から動画へ
まずは個人的に大好きな機能、「画像から動画へ」を使ってみました。
使用したAIモデルはPollo1.5です。
使用した画像は筆者が一時期流行ってた韓国のアレを食べる静止画を題材にしました。
そしてレンダリング結果が以下です。
こ、これわ〜!
もチュもチュ食べてる!しかもすごいクオリティで笑
このクオリティはOpenAIのSoraと同等かそれ以上なのではないでしょうか。さらに言わせてもらうと、Soraは肖像権に厳しく、人物の画像をレンダリングしようとするとエラーが出ます。
しかしこれはエラーがでません。はたまた言わせてもらうとこの動画、プロンプトを間違えて空で生成したのに、場面をちゃんと認識するのか、勝手にチュもチュ動画を創ってくれました!
この手の動画は指が千切れたり増えたりなんて当たり前ですが、この動画では少し怪しいところはありましたが許容範囲です。十分アリバイ動画として使えます。
10秒の尺で創ったのですが、レンダリングも3分57秒と速かったです。
なんだ、やれば出来るじゃないのPollo1.5。
これは色々と試してみたくなりますね。
一貫したキャラクター動画
この機能が他社では無くて、このアプリ唯一無二の機能になるんじゃないかと思いますが、どんな機能かといいますと、この機能によりユーザーは特定の主軸となるキャラクターを設定し、そのキャラクターの周りにアイテムや空間を設置することにより、一つのシーンを作り込むことができます。
実際にかまってみましょう。
この機能はAIモデルを選ぶドロップダウンリストは省かれているので、どのAIモデルが使われているかは不明です。画像を挿入する欄が3つありますので、主題となる人物、脇役のコーヒーカップ、そしてお気に入りのダーツライブカード2枚の3つを揃えました。つまり、この3つのアイテムが主軸となり一つのシーンを構成するという訳ですね。
秒数は8秒を選択、解像度は720pを選びました。
動作範囲とありますが、おそらく挙動の大きさを示しているのだと思います。とりあえず小で。
しかしこの機能は100クレジットも使うんですね。
節約しなかれば…そしてその結果は…
一応3つの要素でシーンが生成れましたね。※カードの扱いがちょっと変ですが。
これはもう少し研究する必要があるかも知れません。
特にコーヒーが3つあるのが不自然ですね。何度か試してみましたが、コーヒーカップが一つだったり、カードが一枚だったりで中々安定しません。難しいです。
動画から動画へ
こちらはSoraでも搭載されている機能ですね。動画から新たに動画を生成するという機能です。果たしてどんなパフォーマンスを見せてくれるか、忌憚のないレビューをしてみたいと思います。
ちなみに元動画はPolloで生成した動画を使ってみました。
プロンプトはなしで、「スタイル」の現代アニメ v3を適用してレンダリングしてみました。この「スタイル」内は豊富なプリセットが用意されており、ワンクリック→レンダリングでスタイルを適用できます。
上記の動画が元動画です。
おおお!中々いい感じでアニメ調に変換されていますね。
この機能で考えられるのは、実写で人物を撮影してAIでアニメ化することによって一本の一貫性のあるアニメ作品が作れるのではないかと言うこと。この機能では最大30秒動画が創れますので、1カット作るには十分な長さもあり、実現性は高いんじゃないかと思います。
オプションの「件名のみのスタイルの変更」は、チェックを入れると「人」と「カスタム」を選ぶ事ができ「人」を選ぶとAIが判断して人物のみスタイルを適用します。
「カスタム」を選ぶと、任意のモノを指定してその部分だけスタイルを変更することが可能です。これは衝撃的に楽しい機能ですね。
「カスタム背景」は今回は使わないので憶測ですが、人物の背景を指定の塗りのカラーに変更することが出来るというものです。
以下スタイルを「ディズニーピクサーv3」にして、「件名のみのスタイルの変更」は「人」に詩レンダリングしてみた結果です。
表情を変えずにニコニコ笑顔にズームして寄っていく姿はなんだか怖いですね笑
ここはプロンプトで瞬きとか表情を変えるよう指示すれば改善するかも知れません。
背景に関しては実写なのですが、ちょっとチラツキがあるのが残念。ここの処理が上手く行けば面白い作品が創れますね。
多彩な「AIツール」で動画を美しくする
また「AIツール」を使って様々な動画の加工を行うことが出来ます。
これも他社の動画生成アプリにはないプロフェッショナルな機能ですね。
例えば「ビデオアップスケーラー」は解像度の足りない動画をアップスケーリングして画質を向上させます。一昔前はこれ単体で売ってたくらいなので、凄い時代になりました。
その他修復ツールやモーションブラシなど様々なツールが揃っていますので、色々試してみると楽しいですね。
料金プラン
料金は一番手軽なライトで月額$10から。毎月300クレジット付与されますから、計画的に使えば月に30本の動画が創れます。一番高いプランでも月額$25ですから、これだけの機能があり、使い勝手もいいので、人によってはプロを使ってもいいかも知れませんね。
まとめ/Pollo AIが描き出す未来
実際に触ってみた感想として、垢抜けたインターフェースだな感じました。UIのデザインが優れており、どこに何があって、どんな機能なのかがすごく分かりやすい。
こんなにも多機能なのに迷うことがないんですよね。直感で分かる。
動画初心者が初めて触る生成AIとしては文句なしに良いアプリだと感じました。
クオリティもSoraと直接対決するとどうかな、と思いますが、飛び抜けた点もあったりしてこれからまだまだアップデートを重ねることを思うと、これからの伸びしろがとてもワクワクするアプリだと感じました。
Pollo AIの未来を見つめながら、私も精進していこうと感じました。
Written by 冬萠