なんだって?通知2分で強制撮影?「BeReal.」は「映え」不要のSNS

フランス生まれのSNS「BeReal.」。その名の通り「リアルを共有する」というのがウリだが、ここで言う「リアル」はちょっと独特だ。2020年に誕生し、パンデミック中に「おうち時間のリアル」を送り合うカルチャーとして広がった。そして今、このアプリが一部でウケまくっている。その理由はとてもシンプル。

BeRealの人気の理由は、”超どうでもいい瞬間“を共有できるところにある。洗濯物が山積みになった部屋、コンビニでおにぎりを物色中の手元、夜中に冷蔵庫を開けたときのまぬけな表情――こんな写真を見て、「何これ!」と笑える人は、きっとこのSNSの虜になるだろう。

その鍵となるのは「通知から2分以内に撮影」というルール。

誰だこんな事考え出したのは。

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ジワる理由その1:「リアルすぎて逆に笑える」

筆者の撮った写真。インカメは見せられない…

BeReal.の投稿内容は、まさに「今この瞬間」そのものだ。
たとえばこんなシチュエーションが想像される。会議中に無表情でパソコンを眺める顔や、カップラーメンにお湯を注ぎながらの「間に合った!」という顔が並んでるのを思い浮かべるとどうだろう。普通すぎる。いや、普通以下かもしれない。

ここで重要なのは、カメラに「盛る機能」が一切ないことだ。しかもこのアプリはフロントカメラとインカメラを同時で撮影される。つまり、通知のタイミングによっては、すっぴんの姿をインカメで強制的に撮ることになるのである。「今日は顔だけは隠したい…」なんて甘えは通用しない。これがシュールさを加速させるのだ。

こうした普通すぎる投稿が逆に人を笑わせたり、親近感を与えたりするところにBeRealの人気の理由がある。

ジワる理由その2:「映え」のストレスからの解放

みんな思い思いの「映えない」写真を投稿している

BeReal.が他のSNSと決定的に違うのは、「映える」必要がないことだ。
Instagramで「#カフェ巡り」とかTikTokで「#今日のコーデ」とか、そんなハッシュタグスランプに陥る投稿を考えるたびに心が折れる人にとって、このSNSは救いの手だ。

ここでは、散らかった部屋も、疲れ果てた顔も、むしろ「いいね!」ポイントになる。例えるなら、「ラーメン屋でフレンチトーストを頼む人を見てホッとする」ような感覚だ。(何だそれ)自分を大きく見せなくても、「こういうのでいいんだよ」が受け入れられる安心感が、ここにはある。

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ジワる理由その3:「みんなと同時に投稿する一体感」

BeReal.の最大の特徴は、「通知がランダムに来て、その瞬間に投稿しろ!」というルールだ。通知は1日1回だけ。通知が来てから2分以内に写真を撮らなければならない。ここでドタバタするのがまた面白い。

たとえば、通知が来るタイミングが悪いとき。会社の会議中とか、半分寝ぼけている朝とか。そんな瞬間に「さあ、リアルを共有しよう」と促されるわけである。

通知が来た瞬間、ふと「他の友達、今どんな状況だろう?」と思う。そして投稿を開くと、誰かは歯医者で待っている最中だったり、誰かはジムのトレッドミルで必死の形相だったり。こんな日常がつながると、「あ、みんなこんな感じなんだ」と妙な一体感を覚えるのだ。

BeReal.の楽しさの真髄:「究極のどうでもいい瞬間」を共有するSNS

BeReal.の面白さは、誰もが持つ「どうでもいい瞬間」にスポットライトを当てたことだ。

たとえば、友達が深夜に「カップ焼きそばのお湯を捨てる前」の写真を投稿していたとしよう。その投稿を見て、あなたは思う。「え、私も今それ食べてる!」。どうでもいい瞬間の共通点が、こんなにも心を温めるなんて。

そして、「普通」であることに価値を見出すこの文化は、SNS疲れが叫ばれる今だからこそウケているのだろう。「映え」を追い求めるSNSに飽き飽きしている人にとって、BeReal.はまるで休憩室のような存在だ。

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BeRealがZ世代に人気の理由

BeRealの人気の理由は、その素朴さにある。「どうでもいい瞬間」を共有するだけで、こんなにも面白いなんて。リアルであることにプレッシャーを感じず、ただの「いま」をそのまま見せるだけ。それがウケている理由だ。

友達の写真は24時間経つと消えてしまう。写真検索の機能などない。ただ淡々と一日一回来る通知のシャッターチャンスを死刑囚の様に待つのである。ここまでシュールなSNSはあるだろうか。突き抜け過ぎて笑えてしまう。

日本ではZ世代にウケている言われ、2024年1月時点で国内の月間利用者数が430万人に達しており、14歳から27歳の利用が97%に達するという。
これは推察だが、日本人はみんな見栄っ張りなのだと思う。(私もだが)特に流行に敏感なZ世代は「映え」を気にしすぎてSNS疲れしてしまうのだろう。そこにこのアプリがブレイクしているというわけだ。

BeReal.を使うことで、「飾らない自分の日常って案外面白いかも」と思えるようになる。それに気づいた瞬間、きっとあなたもこのSNSの虜になっているだろう。

さあ、あなたの「どうでもいい瞬間」を共有してみませんか?

後日談:サイバーエージェントがBeReal.でプロモ展開

Image:サイバーエージェント

サイバーエージェントがBeReal.で広告をやったらしい。え、あの「盛らないSNS」で広告?って思うでしょ。でもこれが意外とうまくいっちゃった話。

具体的には、Netflixのオリジナル学園ドラマ『恋愛バトルロワイヤル』の認知を広げるために、高校生や大学生に向けて展開されたプロモーションの一環。そのターゲット選び、絶妙すぎる。だってこのドラマ、高校生活が舞台で、若者に大人気の俳優陣が揃ってる。つまり、見てもらうべき人たちがBeRealにたくさんいるというわけ。

しかもやり方がまた面白い。「Full day takeover」っていう、1日中BeRealで存在感を発揮する広告メニューを使ったらしく。配信日は2024年8月31日。この企画のためにサイバーエージェントはフランスのBeReal本社ともコネクションを作ったり、専用の部署まで立ち上げたんだって。どんだけ本気なの。

で、その結果どうなったかっていうと、このドラマ、Netflix国内週間トップ10に3週連続ランクイン。さらにグローバルでもトップ10入り。BeRealの広告がどれくらい効いたかはわからないけど、「普通の瞬間」にドラマの存在を自然に溶け込ませたのが勝因かも。なんか、「洗濯物の山」と「学園ドラマ」が同じタイムラインにいるの、ちょっとクセになる。
そんなお話。


BeReal. リアルな日常を友達と。

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当記事のオリジナルはガジェットマニアZです
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TOMO広告ディレクター・プランナー
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名前:TOMO
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職業:広告制作全般
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2021年2月より「ガジェットマニアZ」を運営開始し、ガジェットに関する記事を発信しています。
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