Mac mini M4 Proを購入。8K動画編集もこなせるモンスター性能をレビュー!

トランプさんの関税施策によるApple製品の値上げはどうやら不可避のようで、Macの値上げが行われる前にどうにかしないとなぁと思っていました。自宅の仕事で使っているiMacも10年選手なので、このタイミングが潮時かと思い、トドメにAmazonのAppleストアで定価より2万円値下げが行われていたことで、Macを新調する事にしました。

振り返ればiMac 5K Late2015はかなりヘビーな使い方をしてきたと思います。毎日毎日AfterEffectsで激重なエフェクティブワークでマシンはブオンブオン唸り続け、この10年間負荷を掛けっぱなしでした。

少し前に中古PCの記事を書いたばかりなので買い替えは少し気まずいですが、色んな要素が「今」と指し示していますので腹を括りました。

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どんなMacにしようか?

Image:Apple

最初に浮かんだのはMacBook Airでした。スリムな筐体にM4チップのパワー。これをクラムシェルモードで使う。なんて事も考えましたが、使用目的の大部分は動画編集です。最近4K編集や4Kモーショングラフィックスの依頼も増えてきたので、ファンレスのMacBookAirでは発熱がちょっと心配です。性能を含め、色々悩んだ結果長く使うんだと言い聞かせてM4 ProのMac miniを買うことにしました。

新品のMacを買うなんてPower Mac G5(もしくはMacbookAir?)以来でかなりドキドキしています。

スペックはM4 Proの12コア・GPU16コア、24GBのユニファイドメモリ、512GBのSSDストレージ。無印のM4も考えましたが、長年使うので思い切ってM4Proにしました。
吊るしでメモリが16GBになったのは嬉しい進化、しかし先に述べたと通り4K編集が増えたため、24GBに増強しました。

結 論

結論から言いますと、Mac mini M4 Proは何もかもが爆速でした。
Adobe PremiereやAfterEffectsで色々とあれやこれやと試してみましたが、驚異的な性能です。時代はここまで進んでいたか…
まさにコスパの鬼と言わざるをえません。
後にベンチマークテストも行ってますので是非見てくださいね。

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Mac miniの第一印象

改めて第一印象から。

何やら物騒な柄が描かれた箱が届きました。この箱の底面にペリペリと剥がせる取っ手がついていたので剥がします。

すると中からいつもの見慣れたアップル式のデザインの入れ物が出てきました。

箱からしてとにかく小さいですね。
最初届いた時この箱にMacが入っているとは思いもよりませんでした。キューブ状のその白い箱には確かにMac miniと書いてあります。

箱を開けて中身を出すとさらに小さな筐体が現れ、あまりの小ささと軽さに本当にこのAppleTVみたいなミニマムな筐体で動画編集ができるのかな?と一瞬不安になったほどです。しかし後にその性能を体感してすぐに慈しみに変わりました。

端子の数:フロント

  • USB 3.2 Gen 2(Type-C、最大10Gbps)端子 が2つ
  • イヤホンジャックが1つ

端子の数:背面

  • Thunderbolt5(USB-C 最大データ転送速度:80Gbps(双方向)互換性:USB4以下)端子が3つ
  • HDMI端子が1つ
  • ギガビットLAN端子がひとつ。

良いのではないでしょうか。新たに買ったディスプレイにもUSB端子が付いてますし。強いて言うならUSB端子が全てUSB-Cの形状なので、ほとんどレガシーな周辺機器ばかりの筆者は繋ぐのに変換アダプタが必要なのは面倒なところでした。

しかしこうして見ると本当に小さいです。そして軽いです。撮影のロケにも持っていけそうな感じです。デスクの上に置いても邪魔にならず、ちょっと背丈はありますが、特に何にも干渉すること無く置き場所に困りません。こんなサイズに超高性能なシステムが組み込まれていると思うとワクワクします。

Mac miniのデザインはどうかと言われると…

Image:WIRED

でもデザインが美しいかと言われると最近のApple製品としては中の下みたいな感じです。コンパクトですが、同じコンパクトのコンセプトで言えば、昔所有していたPower Mac G4 Cubeが最高に優れたデザインに感じます。Appleさん、またこんなデザインのMac出してくれませんかね?昔のApple製品はアクリルに包まれて美しい筐体でした。

押しづらい電源ボタンは無問題

電源の位置は皆さんの酷評通り、底面にあるので使いづらいのですが、私は電源はスリープモードで運用するので気になりませんでした。故・スティーブ・ジョブズもMacはスリープモードで運用OKと言ってたので、今でもそれを信じています。

iMacからの以降に関しては、移行アシスタントアプリを使ったので特に難しいことはありませんでした。ただしWiFiで移行したのですが結構時間がかかったので、LANケーブルを使って移行した方が良いかと思われます。

さて、今回メインのPCとしてもそうですがお仕事の動画編集用としても購入した訳なので、現在使っているiMac 5k Retina Late2015とどれだけマシンパワーが違うのか比較してみました。

性能比較:まずはディスクスピードの性能を比較

今のiMac 5K Late2015に特別な不満がある訳でもありません。4K編集でもApple ProRes 422に変換すればスムーズに動画編集できますし、現代でも充分通用すると思います。なので買い換えるなら最新の機種でどれだけ性能の差があるか、そこはやはり気になります。

という訳で、両方のマシンでどれだけ性能差があるか覗いてみようと思います。

スペック

iMac(Retina 5K Late 2015)
プロセッサ:3.3GHz クアッドコア Intel Core i5
メモリ:24GB DDR3
起動ディスク:Fusionドライブ
GPU:AMD Radeon R9 M395 2GB

Mac mini 2024
プロセッサ:M4 12コア
メモリ:24GBユニファイドメモリ
起動ディスク:512GB SSD
GPU:16コア

スピードテストに使うソフトは「Blackmagic Disk Speed Test」です。
まずはiMacの内蔵Fusionドライブの速度性能テストです。

まずはiMac 5K Late2015のディスクスピードテスト

iMacのFusionドライブの特性なのか、書き込み側はそこそこの速さなのですが、読み込み側は凄い数値になっています。
iMac 5K Late2015のストレージですが、HDDはSATA 3.0(6Gbps)接続、SSD側はPCIe 2.0 x2レーン、またはx4レーン(4x4Gbps=16Gbps)で接続されています。結果的には書き込み側がHDD、読み込み側がSSDが使われたと思いますが、何故だかいまいち分かりません。

書き込み側がボトルネックになっていますが、4K/ProRes422で大体転送速度が70MB/sなので、Premiereで4Kのレイヤーを3レーンリアルタイムで走らせれる計算になります。

次にiMac 5KにSandiskのポータブルSSDを刺してみました。
メーカー公称で800MB/sの代物ですが、以前図ったとおり、大体半分の速度に落ち着きました。これはUSB3.0(USB 3.1 Gen1 5Gbps)接続ですが、この子の性能を引き出すにはUSB3.2Gen2(10Gbps)が必要でここが世代のボトルネックになります。しかし個人的にこれくらいの読み書きの速度が出ていれば普段の動画編集にはなんの支障もないと考えています。

次にMac mini M4 Proのディスクスピードテスト

恐るべし的なディスクスピードの結果になりました。Mac mini M4 ProのSSD接続方法は一般的なM.2 NVMe SSDとは違うらしく、Apple独自のシステムなのだそうです。
こんなに速度が出るのなら外部SSDもグレードアップしたくなりますね。現在使っているのがUSB3.2のポータブルSSDなので、ファン付きのアルミケースにNVMeのSSDを刺して使わないと釣り合いが取れません。

背面のThunderbolt5端子にSanDiskのポータブルSSDを刺してみました。このSSDの転送速度の公称値は800MB/sですが、ほぼ近い速度が出ました。長尺の動画編集をしなければこれでも発熱は問題ないので、速度共に充分な性能を有しています。

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性能比較:4Kタイムラインのエンコード速度の比較

今度はAdobe Premiere2025にて、Apple ProRes 422メインの総尺3分20秒・4Kタイムラインのエンコード速度を比較します。映像素材にはカラコレが施してあります。
エンコードのコーデックは4K/H.264です。

エンコード結果

iMac 5K Late2015…11分2秒
Mac mini M4 Pro…2分52秒

3.6倍近いエンコード速度の差が出ました。
カップラーメンを作っている間にPVのエンコードが終わるわけですね…
これは素直に驚きました。エンコード時にプログレスバーがグイグイと伸びていくのは快感です。Mac mini M4 Pro、凄いです。

次にSONY XDCAM FX9で撮影した4K MXFデータを、Premiereの4Kタイムラインで5枚PinPで重ね、カラグレを施し、更に光を2枚とテロップを重ねた状態で、再生やスクラブの快適性を比較してみました。

iMac 5K Late2015…スクラブはスムーズに行えます。再生は流石にしんどいのか、マシンが唸ります。フレームレートも15fps程度といったところ。しかし10年前のマシンがここまで動くのはやはり立派の一言です。改めてiMacも捨てたものではないなと思いました。

Mac mini M4 Pro…スクラブも再生も快適です。コマ落ちもなく、非常に滑らかにフルフレームで再生されます。ファンが回る事もありません。
M4の力を引き出すには8Kクラスの編集の舞台が必要なのかもしれませんね。ちなみにMac miniのM4 ProのGPUはAdobe Mercury Playback Engineに(Metal)としてしっかり認識されその性能をいかんなく発揮しています。

という訳で8Kタイムラインの快適さはどう?

iMac 5K Late2015…は流石に再生は無理で、1コマも動かすことが出来ませんでした。スクラブしても画が反応しません。

Mac mini M4 Pro…最初少しつまづきますが、その後スムーズに再生可能です。25フレーム程は出ている気がします。スクラブは少しカクカクしますが可能です。

iMac 5K Late2015は全てがボトルネックになっているのは仕方ないですが、Mac mini M4 Proは外付けSSDの転送速度がボトルネックになっているかも知れません。

性能比較:CPUのベンチマーク比較

CPUの性能テストの定番、CINEBENCH R23でどれくらいiMacとMac minでCPUの性能差があるか比較してみました。

↑まずはiMac 5K Late2015のシングルコアのスコア。意外と健闘しているのが分かります。

↑次にMac mini M4 Proのシングルコアのスコア。圧倒的な速度ですね。iMacと2倍以上の開きがあります。

マルチコアのスコアも計測していますが、冗長的になりそうなので画像は端折ります。結果だけお伝えすると、

  • iMac 5k…3340
  • Mac mini…17119

6倍近い性能差でした。これはすごい。

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性能比較:GPUの性能比較

最後にGPUの性能を比較してみましょう。使用するアプリはGeekBenchです。
まずはiMacから。

iMacのこの数値を基準値とします。次にMac miniです。

GPUでもiMacに対して約2.5倍のスコアを叩き出しています。しかし数値以上に差はあるのです。それは何かと言いますと、最近のMac用の動画編集ソフトは「Metal」という機能を積んでいるのですね。これが大きな差となる要因です。

これは何かと言いますと、Appleが開発した独自のグラフィックス&GPU計算用のAPIで、今までのCUDAやOpenCLに並ぶApple製品専用の技術なんですね。AppleシリコンのGPUに最適化されており、この機能を使うことにより非常に快適に動画編集作業が出来るんです。今回のM4のレスポンスはCPUによるものかGPUによるものか、または両方によるものか分かりませんが、とにかく爆速の性能です。

そんな「Metal」ですが、例えば以下のアプリが対応しています。

  • Final Cut Pro
  • DaVinci Resolve
  • Adobe Premiere Pro
  • Motion
  • Compressor
  • Unity

内蔵DACも高性能

今までのMacでもそうだったのですが、内蔵DACは意外と良いものを積んでるんですよね。iMac 5K Late2015でもインピーダンス60Ωくらいのヘッドホンならそれなりに鳴らせてしまいます。

そしてMac mini M1~M4のモデルには「Apple Siliconオーディオエンジン」という更に高品質なオーディオシステムが搭載されています。これにより、外付けのUSB DACを使用しなくても、3.5mmヘッドフォンジャックを通じて最大96kHz/24bitのハイレゾ音源を直接再生することが可能です。この数値はAppleMusicのハイレゾに使われているスペックなので、それに合わせたのかも知れませんね。

DACチップとヘッドホンアンプの素性は明らかにされていませんが、もしかしたら根本的に従来とは違うものが積んであるかも知れません。

但しスピーカー自体はおまけ程度の鳴り具合で、音楽をエアーで楽しむといった用途には向いていません。ここはiMac 5K Late2015の方が全然良い音です。筐体小さいですもんね。ここは仕方がありません。

ディスプレイも新調しました

メインモニターとして

「HP U28 28インチ 4K HDRモニター」を購入しました。購入の決め手は色域がsRGB100%だと言うこと。sRGBとはウェブでの色域の規格でして、これが100%ということはウェブカラーを完全に再現できると言うことなんですね。従って写真の補正はもちろん、ワードプレスでのウェブ制作などでも正確な色が扱えます。

ここが気に入って購入しました。また、DCI P3のも93%カバーしています。この色域は映画やNetflixの特別なコンテンツなどの規格で使われており、そちらで納品することが多い人には向いてます。あと4Kであるということ。iMacは5Kを謳ってましたが、実際の解像度は2000px程度だと思われるのでHP U28とほぼ実解像度は変わらないかなと。いい買い物をしました。

動画編集のプレビュー用モニターとして

「ASUS ProArt PA248QV」というディスプレイを購入しました。
こちらはフルHDの解像度ですが、色域がsRGB100%でしかもRec.709だということ。Rec.709とは主にテレビ放送に使われる色域でして、テレビ番組やテレビCM等がこの色域になります。また、企業VPやPV、YouTubeやデジタルサイネージなどもこの色域になります。私はこの領域の人なのでマスターモニター代わりに購入しました。

ASUS ProArt PA248QVは、工場出荷時に色のキャリブレーション済みで出荷されており、「Calman Verified(キャルマン認証)」や「ΔE < 2(デルタE 2未満)」という精度を謳っています。これはつまり、色のズレが非常に小さく、プロ用途でもすぐに使えるレベルの精度を持っているという意味です。また、細かいホワイトバランスやカラーチューニングも出来るため、准プロ級のモニターとして使えるのが気に入りました。

思えばiMac 5K Late2015のディスプレイもとても発色がよく、現代でも通用する素晴らしいディスプレイです。中古でこのiMacを今買うとしても、ディスプレイは間違いなく現在でも映画の編集などには最高峰の品質であると言えます。

まとめ

最初から分かっていた事ですが、Mac mini M4 Pro、とてもパワフルで驚きました。今までならちょっと重たい4K動画も楽勝で編集でき、新しい時代が来たのだなと納得します。これから10年先でも問題なく持つ性能だと思います。というか思いたい。

しかし逆にiMac Late2015の性能の高さも改めて浮き彫りになりました。まだまだ現役で使えるので手放すのは惜しいですが、10年間ありがとうの言葉を添えて、静かに里子に出そうと思います。どこかの誰かのクリエイティブに役立ちますように。

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