製品提供:完実電気株式会社
みなさんマーシャル(Marshall)と聞いて何を思い浮かべますか?
私はパッと思いつくのはギターアンプなんですね。バンドでマーシャルのギターアンプは若いミュージシャンからしたら憧れの存在だったはず。
しかしそのマーシャルが2010年頃に初めてヘッドホンを発売。最初に登場したのは「Marshall Major」というモデルで、このヘッドホンはギターアンプと同様のブランドの世界観を取り入れたデザインと、ロックに最適なサウンドで注目を集めたんですね。
そして…2024年10月25日、4年ぶり・三代目のフラッグシップ機となるマーシャルのワイヤレス・ノイキャンヘッドホン「Monitor III A.N.C.」が発売されました。
今回はそんなマーシャルを取り扱う国内代理店であり、多数のオーディオブランドを擁する完実電気株式会社さまからご縁がありまして、このヘッドホンの実機レビューのご依頼を頂きましたので、いつもの様に忖度無しで機能性・音質をレビューしてみたいと思います。
↓Monitor III A.N.C.のブランドPV
マーシャルのノイキャンヘッドホン「Monitor III A.N.C.」の仕様
形式 | ダイナミック型 |
通信方式 | Bluetooth®5.3 |
対応コーデック | SBC,AAC,LC3 |
連続再生時間 | 約70時間(ANCオン) 約100時間(ANCオフ) |
フル充電時間 | 2.5時間 |
再生周波帯域 | 20Hz – 20,000Hz |
重量 | 約250g |
インピーダンス | 35Ω |
感度 | 91.7 dB SPL (100 mV @ 1 kHz) |
付属品 | ヘッドホンケース、USB Type-C to Type-C 充電ケーブル(約 22cm) USB-C to 3.5mm オーディオケーブル(約 1.23m) |
脅威の連続再生時間
製品スペックでまず目を引くのは、連続再生時間です。ANC(アンチノイズキャンセリング)がONの状態で連続約70時間、オフの状態で約100時間…ANCオンの状態で約3日間も連続再生できるのか…ズボラな私には思いっきり刺さるスペックですね。ノイキャンオフなら4日間も。凄すぎます。
Bluetooth5.3
最新世代の1つ前のバージョンのBluetoothが搭載されています。
必要にして充分な速度が保証され、音切れなどを排除します。
圧倒的に軽い
実際他社のノイキャンヘッドホンでこの連続再生時間の数値を達成している機種は私の知る範囲では今のところ知りません。
ここまでバッテリーモンスターだと重量も重たいのでは?と思うと、重量もたったの250gなんですね。すごく軽く仕上がってます。
ハイレゾ対応では無いけど必要十分
ちょっと気になったのはLDACやaptx HDと言ったBluetoothコーデックのハイレゾ音源には対応していないと言うこと。しかし私がメインに使うミュージックアプリはAppleMusicなので、音質的にはAACで充分。
AppleMusicでハイレゾ(ALAC)を聴きたいときは、USB-DACにオープンイヤー型の有線ヘッドホンを通してどっしりと構えて聴く…それで良いんです。
このヘッドホンがメインターゲットにしているのはSpotifyのようですが、Spotifyはハイレゾ音源はなくAACなので、ハイレゾは割り切って切り落とした贅肉となりますかね。一度どんなポリシーなのか聞いてみたいです。
ただ、SBCの後継コーデックであるLE AudioのLC3に現状対応していること、そして次世代Bluetooth技術である「Auracast」に対応予定である事が示唆されており、長く使えるヘッドホンになりそうです。
マーシャルのワイヤレス・ノイキャンヘッドホン「Monitor III A.N.C.」はフラッグシップ機として、ワイヤレスヘッドホンでの王者として、他社を寄せ付けない性能を充分に有しています。そして音質に関してのそのコンセプトは再生周波数帯域の数値が物語っています。無理に可聴域を引き伸ばしたりせず、20,000Hzをピークに設定し、その範囲内での高度な音質の追求を求めているのだと思います。
実際聞くと解るのですが、音に余裕があり、シャープな低音から音場の広い高音まで、とても自然でありながらパワフルな音設計のチューニングが成されている音質だと感じました。
満充電時間はたったの2.5時間
普段キャンプを趣味としていて、色んなLEDランタンやら、モバイルバッテリーやらを使うのですが、結構充電時間が掛かるんですよね。その点「Monitor III A.N.C.」の充電時間はたったの2.5時間。忙しい朝に充電を忘れても、15分程充電すれば、12時間持つのだそうです。これもズボラな私には助かるスペックです。
レビュー開始:マーシャルのフラッグシップ機を紐解く
パッと一目で見て胸が踊りました。
さすがマーシャル。UKロックを感じさせるパッケージです。
しかし安っぽさはなく、しっかりとした箱作り。フラッグシップとしての誇り高さが伝わってきます。
この期待感のあるパッケージは、購入者にとって期待感を煽るには充分。
付属品
付属品はこんな感じです。
ヘッドホン本体、多言語説明書と安全情報に関する小冊子、そして有線ヘッドホンとして使える変換端子。そしてヘッドホンケースの中に短めの充電用のUSBケーブル。シンプルでいい感じです。
ヘッドホンが格納されているケースはとても高級感があり、内側はベルベット調の赤い内張りになっており、他社の物とは一線を画す存在感があります。シボ感が高級感を訴求しつつ、とてもしっかりしてますね。それではマーシャルのワイヤレス・ノイキャンヘッドホン「Monitor III A.N.C.」とご対面といきましょう。
製品の質感
とてもコンパクトに折り畳まれたノイキャンヘッドホン。
手に取った質感としてはとてもサラサラしており、ヒンヤリとしたメタル感があります。プラスチック感はゼロです。各部の接合部やイヤーパッドの質感など、とても上質な質感です。
特にハウジング部分はシボ加工がなされており、これがとてもカッコイイ。見た目も触った感じも大人な感触の印象を受けます。ショボさが全く見受けられない。
マーシャルのフラッグシップモデルとして、相当な拘りを感じるビルドクオリティです。
ヘッドホンのビルドはクオリティが誤魔化せないのでここは100点満点です。
各種ボタン・操作感
各種ボタンは左右のハウジング部に集約されており、ANCボタンとMボタンが程よい存在感で搭載されています。また、ハンズフリー通話、音楽の操作、イコライザー、Googleアシスタントなどのコントロールが可能です。
①コントロールノブ
音楽、通話などの音量を調節するには、右のイヤーカップにあるコントロールノブを使用します。②LEDランプ
LEDは、赤、オレンジ、緑の順(0~100%)でバッテリー充電状況を示します。Bluetooth®ペアリングモード中は青色で点滅し、デバイス検出中は白色で点滅します。接続すると、LEDは白色に点灯します。③USB-Cポート
USB-C – USB-Cケーブル経由でUSB電源に差し込んで、ヘッドフォンを充電します。
USB-Cポートはオーディオ入力としても使用できます。ヘッドフォンの電源をオンにし、ヘッドフォンを付属のオーディオケーブルを介してサウンドデバイスの3.5 mm出力ジャックに接続します。④ANCボタン
ANCボタンを押すと、ノイズキャンセリングとトランスペアレン
シーが切り替わります。ノイズコントロールはMarshall Bluetooth
アプリで調整できます。⑤カスタマイズ可能なMボタン
Spotify Tapで音楽を楽しむには、Mボタンを押します。Mボタン
は、Marshall Bluetoothアプリでカスタマイズできます。
Spotifyとの連携が楽チン…Apple Musicは?
マーシャルのノイキャンヘッドホン「Monitor III A.N.C.」にはSpotifyに簡単に接続するための「M」ボタンが搭載されています。これが非常に便利でして、スマホを開くことなく、Spotifyの曲を聴くことが出来るんですね。いいなこれ。
このボタンはカスタマイズが可能でして、「Marshall Bluetoothアプリ」をインストールすることで各種割り当てが可能です。私が普段使ってるミュージックアプリはAppleMusicなので、残念ながらこの機能の素晴らしさを享受することは出来ません。
しかし一度iPhoneのBluetoothに登録しておけば、ヘッドホン側のコントロールノブのオンオフで勝手にスマホに繋がるので、実はそんなに大きな問題でもありません。
専用アプリで様々な設定が可能
専用のアプリ「Marshall Bluetooth」を使えば、ANC(ノイキャン)の強弱が調整出来たり、イコライザーで自分好みの音に出来たりします。個人的にはイコライザーの機能が気に入ってます。5バンドイコライザーですが、充分に遊べます。※本当は10バンドイコライザーにして欲しかった。。
また、面白いのが「サウンドステージ空間オーディオ」機能というもの。これもイコライザーの一種ではあるのですが、アプリでリスニング空間の広さを設定出来るというもの。面白そうなので試してみましたが、僅かに響きが増したかな?という感じの効果大人しめな機能でした。
↓アプリのダウンロードはこちら
Marshall Bluetooth
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旅行に行く時もコンパクトに折りたためる
旅行やキャンプに行く時、パッキングにはいつも悩みます。
しかしマーシャルのワイヤレス・ノイキャンヘッドホン「Monitor III A.N.C.」は折りたたみ可能なので、とてもコンパクトに降りた畳むことができます。また、製品を保護するためのケースも付属しており、移動の際も安心・安全に持ち運びが可能。
他社のフラッグシップモデルを見ますと、案外折りたたみ式ってないんですよね。
そして普通、折りたたみ式にすると各部のパーツが増え、重量的に嵩むような気がするのですが、マーシャルは実用的でありなから、軽さも両立しました。これは凄い事だと思います。
被り心地・耳のフィット感
そしてその250gという軽さは被り心地にも影響します。取り敢えず2時間ほど使用してみましたが、耳や頭が痛くなるということも無く、快適に使用することが出来ました。側圧は優しく、とてもつけ心地がいいんですね。また、ヘッドバンドの素材が硬いので、頭頂部が痛くなってくるかな?と思いましたがこれも問題なし。とてもストレスフリーなリスニング時間を過ごせました。
あと、長時間使っていても耳が蒸れる事はありませんでした。フェイクレザー系のイヤーパッドって割と蒸れやすいんですが、これは通気性が良いのか、そんなことはありませんでした。
夏の屋外で使うともしかしたらまた違った結果になるかもしれませんが。
ANCのクオリティ
マーシャルのワイヤレス・ノイキャンヘッドホン「Monitor III A.N.C.」は、自然に外部の音を聞くことが出来る「外音取り込みモード(トランスペアレンシーモード)」と、静寂のリスニング体験が出来る「ノイズキャンセリング(ANC)」モードのふたつがあります。ANCの方は専用アプリで強度を3段階から選ぶことができます。
ノイズキャンセリングのやり方は簡単。画像の「ANC」ボタンを押すだけです。
実際に試してみたところ、外音取り込みのモードはすごくクリアでナチュラル。
僅かに機械臭さを残しますが、実用で悩むことは無いと思います。
一昔前は補聴器みたいな音質の物もあったと思えばかなりの進歩です。
一方ノイズキャンセリング(ANC)は3段階のうち最も高いモードで試してみましたが、一瞬で音が消え、そこにあるのはただ静寂のみ。
耳の詰まり感もなく、自分だけの空間にジャンプできます。※テレビの音なんかは遠くに聞こえますが。
それに驚いたのが、ホワイトノイズがまるで無いこと。
まるでと書いたのは、初期のヘッドホンはホワイトノイズが結構大きく、静かなところでリスニングすると結構気になっていたんですね。技術の進歩は大きいです。
ノイキャンはここ10年で大きく進歩したように感じます。素晴らしいですね。
実際の音質チェック
マーシャルのワイヤレス・ノイキャンヘッドホン「Monitor III A.N.C.」は40mmドライバのダイナミック型という事もあり、ノリの良いEDMやロックなどが得意なんじゃないかと思われます。
また、このヘッドホンはダイナミックラウドネス機能を搭載し、どの音量でも高音、中音、低音が最適なバランスで調整されるよう設計されています。ドライバーの配置を工夫することで、クッション内部に耳がしっかり収まるスペースを確保し、深みのある豊かなサウンドを楽しめるようになっています。
さて、それでは音質チェックの試聴に参ります。試聴する前にEDMを15時間ほど流してドライバを馴染ませておきました。イコライザー設定はデフォルトです。
- EDM:DeepForest/Sweet Lullaby
最初ダイナミック型で帯域の上限を考えたら、低音よりの作りかとタカをくくっていました。しかし低音は締まりがよく、ボワ付きは皆無。リッチで情報量のある低音の気持ちよさ。中高音は開放型ヘッドホンに似た音の抜けの良さがあり、音場が非常に広く感じます。非常に完成度の高い音質に感じました。特に優れているのは定位感で、音が正確な位置感を持って演奏していることです。立体的に感じられ、音楽が楽しく聴けます。歯切れがよく、スピード感があり、もったりした感じがゼロの音質です。
- JAZZ:ビル・エヴァンス/My Foolish Heat
聞き初めからハイアットのニュアンス、そしてベースの量感が豊かに響き渡ります。JAZZこそ定位感が命だと思っているのですが、見事な音の位置関係と分離感でピアノ、ハイアット、ベースの距離感までしっかりと表現していています。特筆すべきはその解像力で、細かいハイアットの繊細な音までハッキリと聞こえること。そしてベースを引き立たせる厚みのある音質。素敵な音楽だな、と音質チェックを通して改めて魅力を再発見した思いです。
- JPOP:今井美樹/Sleep My Dear
バラードなんですが、意外に低音が豊かな曲なのでチョイスしました。狙い通り、低音の量感がズーンと伝わってきます。ボーカルはややくぐもって聴こえますが、相変わらず定位感と分離感に優れます。音場の広さと相まってまるでコンサート会場で聴いているような錯覚に陥ります。最後の消えゆく音も解像度の高さと相まって余韻が美しいです。素晴らしい音質です。
- 空間オーディオ:マライア・キャリー/ALL I Want for Christmas Is You
最後にAppleの空間オーディオを試してみました。マーシャルの新技術によって空間の定位感が大きく進化したという。これまでの定位感の良さはそれに基づくものなのでしょうか?だとしたら空間オーディオを試してみようと。結果はすごい定位感。音があちこちから聞こえてくる不思議な感覚です。音源にもよりますが、空間オーディオとの相性はとても良いようです。マライア・キャリーの声がとても艶やかに響き渡ります。今井美樹のボーカルとは評価が違いましたね。マスタリングの問題でしょうか?
Monitor III A.N.C.のちょっと惜しい点
- MボタンとANCボタンが見づらい。特に老眼の私にはボタンの文字が判別しづらいのです…また、ヘッドホンを付けたままで操作しようとすると、慣れが必要です。
- これはマーシャルのヘッドホンだけの話ではないのですが、L・Rが分かりづらいんですよね。AKGのヘッドホンなんかはこの辺すごく分かりやすいので視認性を改善してほしいですね。
- 高音の帯域が低い。ここは問題ないと解説してきましたが、正直な話では有線接続も可能にしたのならば、やっぱりDACに繋ぎたくなるもの。40,000Hzまで対応して欲しかったです。※そこまで聴き取れるかどうかは別として…自己満足の世界ですね。
各メディアの評価とユーザーの口コミ
AV Watch
「マーシャルらしいデザインと長時間再生を兼ね備えた高性能ヘッドホン。音質の評価も高く、特にノイズキャンセリング性能は業界トップクラス。」Gizmodo Japan
「250gという軽量設計ながらも耐久性に優れ、バッテリー性能も驚異的。価格も同等クラスの競合製品と比べてコスパ良好。」価格.com
「ユーザー満足度の平均点が4.8。音質、デザイン、接続の安定性について多くの高評価が寄せられています。」音元出版
「マーシャルならではの重厚な低音が印象的。装着感も非常に良く、長時間使用しても疲れにくいデザインが高評価を受けています。」Apple Musicユーザー
「AAC対応なので、Apple Musicとの相性が抜群。操作性も直感的で、音質は特に低音の締まりが心地よい。」Spotifyユーザー
「Spotify連携機能がとても便利。Mボタン一つでお気に入りのプレイリストに簡単アクセスできるのが嬉しい。」
総評:マーシャルのフラッグシップの美学を見せつけられた1台
マーシャルのワイヤレス・ノイキャンヘッドホン「Monitor III A.N.C.」は、まさに音楽の情熱と技術の結晶とも言える一台でした。その名門ブランドの歴史とプライドを背負い、細部に至るまで計算し尽くされたデザイン、耐久性、そしてその音質は、聴く者に新たな感動を与えます。
このヘッドホンは単なるヘッドホンではありません。音楽をより深く感じるための道具であり、日常に溶け込みながらも、その存在感を失わない佇まいを持っています。長時間リスニングを可能にする驚異的なバッテリー性能、軽量ながらも高い堅牢性、そしてノイズキャンセリングの圧倒的な静寂。これらが一体となり、まるで音楽の世界にダイブするような体験を提供してくれます。
「Monitor III A.N.C.」は、マーシャルがもたらす音楽の真髄を日常に届ける、まさに新世代のフラッグシップモデルです。音楽愛好家のみならず、あらゆるリスナーに一度手に取ってほしい逸品。マーシャルの底力とその音楽哲学を存分に感じ取ることのできる、珠玉のヘッドホンといえます。
音楽が好きであるということ。そのシンプルな事実を、このヘッドホンが私たちに静かに、しかし力強く語りかけてきます。
製品提供:完実電気株式会社